不動産の媒介契約
不動産の売却を不動産会社に依頼するとき、不動産会社と書面で「媒介契約」という契約を結びます。媒介契約は不動産会社が売主様に対して「成約に向けて努力する」ことを約束するものです。媒介契約には「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、売主様が選ぶことになっています。
1.専任媒介契約
不動産会社1社だけにしか住まいの売却を依頼できないのが専任媒介契約です。売主様の物件情報は契約を結んだ1社しか扱えません。契約した不動産会社が売主様の物件を多くに知ってもらうため、きちんと情報発信することが求められます。
そのため、売主様と専任媒介契約を結んだ不動産会社は、契約から7営業日以内にレインズ(指定流通機構)に物件情報を登録する義務があります。速やかにレインズに登録することで、多くの不動産業者に物件情報が届くようにするためです。
このほか専任媒介契約では、2週間に1回の割合で売主様へ販売活動の状況を報告することが不動産会社に義務づけられています。売主様としては、自分の物件の販売状況が把握できることに加えて、不動産会社の担当者と定期的にコミュニケーションをとることができるため、安心できる契約と言えるでしょう。
2.専属専任媒介契約
専属専任媒介契約の内容は、専任媒介契約とほぼ同じです。異なる点としては、レインズへの物件情報の登録が5営業日以内、売主様への報告は週1回以上が義務付けられており、やや厳しめの設定となっているところでしょう。
加えて、専属専任媒介契約では、「自己発見取引」が禁止されています。専任媒介契約や後述する一般媒介契約は、売主様が自分で買主様を見つけた場合、不動産会社を通さず、直接取引することができます。しかし、専属専任媒介契約の場合は、契約した不動産会社が仲介に入る必要があり、仲介手数料が発生してしまいます。稀なケースですが、知り合いなどが興味を示している場合、専属専任媒介契約は避けたほうがいいかもしれません。
専属専任媒介契約も専任媒介契約もその名が表すように、一度不動産会社と契約を締結すると、契約期間が満了するまで他の不動産会社との契約はできなくなります。不動産会社としては、契約の期間中は他の不動産会社と争う必要がなく、売却が成立すれば確実に仲介手数料を手にすることができるため、ぜひともどちらかで契約を結びたいと考えています。
一方で専属専任媒介契約と専任媒介契約にはデメリットも存在します。たとえば、他の不動産会社への物件の紹介を故意に妨げる「囲い込み」がそれです。買主様からの手数料も得る「両手」を狙ったものですが、これをやられると売却に時間がかかったり、売却価格の値下げを余儀なくされたりと、売主様が不利益を被ることになりかねません。1社に絞る契約だけに、信頼できる不動産会社を選ぶことが成功の鍵になると言えるでしょう。
3.一般媒介契約
一般媒介契約は、依頼した不動産会社以外の、他の不動産会社にも同時に媒介の依頼ができる契約です。レインズへの登録や販売活動の報告も任意となっており、自己発見取引も可能です。売主様も不動産会社もそれぞれ自由に販売活動を行えるのが特徴と言えます。
他方、売主様への報告義務がないことから、不動産会社の動きを把握することが難しいのがデメリット。また、競合が増えることで成約の確率が下がるため、専任媒介契約などと比較してあまり熱心に販売活動を展開しない不動産会社が多いのも難点と言えるでしょう。
それぞれの契約には、それぞれにメリットとデメリットが存在します。売主様の事情などを考慮して選びましょう。実際には、「専任媒介契約」を選ぶ売主様が多いようです。「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」の契約期間は3カ月以内と決められており、3カ月ごとに更新します。契約した不動産会社に疑問を感じたら、更新を止めて他の不動産会社と契約することができる仕組みになっているので、覚えておくと良いでしょう。
当社では媒介契約の内容や違いをしっかり説明した上で、ご依頼いただくようにしています。どうぞ納得いくまでご相談ください。
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